映画「クロッシング・ザ・ブリッジ~サウンド・オブ・イスタンブール~」
ドイツの前衛バンド「アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン」のメンバーであり、ベルリン・アンダーグラウンドの重鎮、アレクサンダー・ハッケが、トルコ最大の都市、イスタンブール(ちなみに、トルコの首都はアナトリア中部のアンカラ)の音楽シーンの魅力の秘密を求め、現地のミュージシャンとセッションを重ねていった記録を映画にしたものです。
ハッケが出会ったのは、
・ハルク(トルコの民俗音楽)などの伝統音楽とサイケデリック・ロックを融合した独自のスタイルの音楽を奏でるジャムバンド、ババズーラ
・クラブ・ミュージックにアナトリアの伝統的な音を加えた楽しくもメランコリックな音をつむぎ出すオリエント・エクスプレッションズ
・トルコの伝統的なロックの中心的な存在であるデュマン
・実験的なバンドとしてアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンを崇拝し続けるレプリカス
・早くからトルコ語のロックの可能性を示したエルキン・コライ
・ヒップホップのエンターテインメント性を利用して社会的、政治的考えを伝えるラッパー、ジェザ
・ブレイクダンスに情熱を注ぐティーンエイジャーの集まり、イスタンブール・スタイル・ブレイカーズ
・クラブサウンドとスーフィー音楽を融和させたデジタル・デルヴィッシュことメルジャン・デデ
・ジャズファンをも魅了したジプシーのクラリネット奏者、セリム・セスレル
・セリム・セスレルとともに、忘れ去られたトルコの音楽に陽の目を当てたカナダのフォークシンガー、ブレンナ・マクリモン
・メジャーになることをあえて拒否し、ストリート音楽に情熱を傾けるシヤシヤベンド
・クルド人であることにこだわり続け、クルド語の歌を歌い続けるアイヌール
・トルコのタクシー運転手たちのヒーローである、アラベスク(日本で言えば演歌にあたる)歌手であり、トルコ映画黄金時代には映画俳優でも会ったオルハン・ゲンジェバイ
・トルコのサロン音楽の歌い手の最後の一人と言われる、ミュゼイイェン・セナール
・トルコポップスの女王にして、タルカンなどを世に送り出した、セゼン・アクス
とっても贅沢な映画です。これでトルコの音楽の全容がわかる、とまではいきませんが、イスタンブル(イスタンブールと言わないでこう読むのが正しいらしい)までわざわざ行かなくとも、イスタンブルの音楽シーンの概要がわかってしまうのですから。そして、イスタンブルの音楽がいかにかっとんでいるか、それもかっとぶ代償として伝統を切り捨てるのではなく、それを抱合していることも。たとえば、日本のポップスに三味線が伴奏で入ったと考えてください。日本ならいいところ演歌でしょう、それが成り立つのは。J-POPなら、「そんなのありえね~」でしょう。三線は別として。でも、それもありなんです、トルコでは。
冒頭のナレーションにある「儒教ではこう言われている。『音楽は訪れた土地の文化の奥深さを語る』」が真実だとすれば、日本の音楽シーンの奥行きは…
などと難しいことを言ってしまうと、肩が凝りそうですね。いいんですよ、余計なことは何も考えず、流れる音楽に身を任せるのも。
この映画の公式サイトはこちら。
さすがワールドミュージックトライアングルを持つ、渋谷だわ。六本木じゃこうはいかんだろうな、きっと。
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