天下のア法、「交通バリアフリー法」
交通バリアフリー法なるものが施行された。鉄道の駅にエスカレータやエレベータが設置されたり、バスの乗降車口の段差が減ったり、ドアに車椅子での乗降が楽にできるよう、リフトを付けたり、収納式のスロープを設けたり、スーパーなどの出入り口で今まで段差を階段で回避していたところにスロープを併設したり、なんて事がそれに伴って行われている。
目的は悪いことだとは思わない。が、これのおかげでひでぇ目にあうこともあることをご報告しておく。
ことは、一昨日の日中のこと。所要をこなすため、家の近くからバスに乗った。乗ったバスは、「ワンステップバス」といって、「乗降口と床の間」に段差が1段のバスだった。ちなみにこの段差がないのがいわゆる「ノンステップバス」であることを注記しておく。あくまでも、「乗降口と床の間」であって、歩道と床の間ではない」ことに注意されたい。こういっておかないと勘違いされる方が絶対出るので、くどいようだけど念を押しておく。
さて、目的地のバス停が近づいた。信号待ちの間を利用して、出口の中扉(前扉は前輪の前または前輪直後の扉、中扉は前後輪の間の扉、後扉は後輪の後の扉のこと。この辺はバス会社や車種によってまちまちなので、混乱を防ぐために私はこういう風に呼んでいる。今後バスの扉の位置の話が出たときは、私は以下の基準で話していると理解されたい。これもくどいようだけど、念を押しておく)のそばに立った。
信号が青に変わって、バスが発車した。そのとき悲劇が起こった。発車してまもなくのところが左カーブになっていて、そこで見事に私は後ろにこけてしまった。やれ
「私はジャパニーズバスマニアン」
だの
「私はどんな乗降方式の挑戦でも受ける」
だのと言っている人間にあるまじき大失態である。
握り棒だのつり革だのにつかまってなかったのかって? 握り棒にはつかまっていた。ただし、両手で上下方向に設置されている方に。こんなことをすりゃ、カーブでぶん回されるのは考えてみればわかることだ。片方は上下方向でもいいがもう片方は床に平行に走っている握り棒を握っていればぶん回されなかったろう。もっとも、床に平行に走っている握り棒を握っていた方の手首が無事ではなかったかもしれないが...
少し足腰弱ってないかいって? まぁ、ここしばらく病気で家に寝込んでいることが多かった(といっても、1日24時間家から出られなかったというような日はない)が、ちょっとした加速度の変化にも耐えられないほど弱っているとは思えない。
そろそろ、じりじりしてきた人もいるだろうから、正解をいっておこう。
実はこのとき乗った「ワンステップバス」は中扉から後ろが一段床が高いのだ。そして、そこが段差になっている。その段差のおかげで踏ん張るに踏ん張りきれずにこけたのだ。ここに段差がないか、高低差があってもスロープだったらなんとか踏ん張れたのだが...
それはさておき、いきなり上に倒れ掛かった(「押し倒した」の間違いではない。その子は着席していたし、私の体は横向きか背中を向けた状態だったはず)女の子や運転士(運転手って言っちゃだめよ~)さんにはほんと悪いことしちゃったなぁ、と反省している。たまたまそのバスに乗り合わせた乗客でおせっかいな人が新聞に投書したり、バス会社にクレーム上げてたりしてなければいいんだけどねぇ...メーカーには言って欲しいが...
交通バリアフリー法のおかげで今後はこの手のバスがどんどん増えるのだ。たとえ、乗降口と床の段差はなくとも、中扉とそれ以降の床との段差は残ったままのバスが。前から後ろまで床面フルフラット、そこまで行かなくても段差はスロープで吸収するタイプのものもあるけど、こちらは大幅な設計変更(一からやり直しといっても過言ではない)が必要な上、値段もかなり高価となるので、前中の扉間のみ床を下げて、中扉以降は従来どおりというものが今は主流である。こっちのほうが、既存のバスのコンポーネントも利用できて、製造コストも下がるから。交通バリアフリー法では、後扉の設置は認めていないので、こんなのもありなのだ。
私はむしろ、後扉の設置を認めてほしかった。もっと言えば、義務付けてほしかった。後扉を使う使わないは実際のバス会社の運用に任せるとしても。前乗り運賃前払いのところであれば、このほうが車内の混雑率を一定にできるから。名古屋市営バスの3扉車は、出口の中扉、後扉は降車客のあるときは両方開けて、「お近くのドアよりどうぞ」って感じで降ろさせてくれたもんなぁ...関東バス以前の2扉車や3扉車のように、一番後ろまで歩かされるのは乗っている位置によっては面倒だけど。
私は交通バリアフリー法を「天下の悪法」とまでは言わない。ただし「天下のア法」とはいくらでも言ってやる。
ノンステップバスを本気で普及させたいなら、前から後まで段差のない車以外にその名を名のらせるな。
« "와"(ワ)を以って貴しとなす...!? | トップページ | 日韓友情年2005のキャッチフレーズ »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 【コネタマ】ここ10年ですか? 誰もいませんよ(2011.02.02)
- 【コネタマ】一度変えてみましょう(2009.08.29)
- 【コネタマ】パフォーマンスしたけりゃ政界でなく芸能界に行けばよろしい(2009.07.25)
- 思いつくまま書いてみましょう! (今日のテーマ)(2009.03.10)
- 参議院選挙 (今日のテーマ)(2007.07.29)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 1月ぶりの書き込みです(2012.11.30)
- 秋分の日(2012.09.23)
- 財布がボロボロに成ったので(2012.09.15)
- 今の状態を一言で言うと、「リア空」かな?(2012.08.18)
- 心の叫び。一体どうしたらいいんだよう?(2012.08.11)
「乗り物」カテゴリの記事
- 練馬区光が丘地区のバス路線に変更(2012.04.09)
- 春の嵐で右往左往(2012.04.03)
- またやってくれましたね、東武さん(2011.09.22)
- 関東バスの話題2題(2011.07.23)
- 国際興業バス、明日より平常ダイヤへ(2011.03.24)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 天下のア法、「交通バリアフリー法」:
» ♪英語で定義しよ♪のお題「bus」 [ひぐらしの園]
英語の頭の体操です。ちょこっと英作文いたしましょう。あなたの頭の中の英語が動き出 [続きを読む]
そうそう。ノンステップバスに限らず路線バスのホイールアーチ(タイヤを避けるために設けるでっぱり)上の座席は座りにくいです。
特にスカート履きの女性にはつらいでしょうね。前輪上はまだしも後輪上が特につらいでしょう。すごいあられもないような格好で座っていた女子学生を見たことがあります。スカートがミニでなくてよかったねぇ...と言う感じ。
男どもは...書くまでもないですか?(^^ゞ
投稿: ごまめ | 2005/02/18 19:53
私が知っている某社のノンステップバスは、乗り降りは楽かもしれないけど、乗った後が大変です。特に後部座席の、後輪の上の席はまるで断崖絶壁。うんとこどっこいしょ、と、力いっぱい手すりを握り締め、よじ登る必要あり。体力が余っている人しか座れません(苦笑)。
投稿: 丹後ちまき | 2005/02/14 19:46